白無垢は格式の高い婚礼衣装?5つの要素と着ることができる挙式様式を紹介!

白無垢とは?

今回は、白無垢(しろむく)の歴史や構成する5つの要素、白無垢が着られる挙式様式などについて詳しく紹介していきますが、そもそも白無垢とはどのような衣裳をいうのでしょうか。


白無垢の意味は汚れのない純真な白のことで、結婚衣裳では和装の中でもっとも格式が高い白い着物のことです。白は神様に仕える人の衣裳の色であることから邪気を払い神聖な儀式に臨む花嫁の衣裳として着用されるようになったといわれています。

白無垢の始まりは?

平安時代から白の婚礼衣装は貴ばれてきましたが、室町時代に足利幕府による礼道教育の確立とともに婚礼の方式と衣裳が決められ、幸菱文様の表着の上に白打掛を着用したのが白無垢の由来といわれています。


ちなみに現在のように神前式の定番の衣裳となったのは明治時代以降で、西洋式の結婚式文化が日本に入り、それまでは自宅で行われていた結婚式が神前式で行われるようになってからです。

白無垢が意味するものとは?

白無垢という言葉には「純潔」そして「相手の家に染まる」という意味があります。これから嫁いで新しい家に入る花嫁の婚礼衣装として白無垢がふさわしいという、日本ならではの考え方があるのが理由でしょう。


また、古来より日本において白は神聖な色とされ、誕生時の産着や死者の装束に白が使われることから、花嫁の白には「生家の娘として1度死に、婚家の嫁として新たに誕生する」との深い意味も込められているともいわれています。

白無垢を形作っている5つの要素

「白無垢」は一見ただの白い着物と思われがちなのですが、よく見ると光沢感や手触り、柄や織り方にグレードがあり、とてもバリエーション豊かなのをご存知でしょうか。


白無垢を構成する要素を「柄」「素材」「織り方」「装飾品」「髪形」の5つに分けて、次にそれぞれ詳しく紹介していきます。

白無垢の要素1:柄の違い

白無垢の柄には大きく分けて花系・鳥系・その他の3系統がありますが、なかでも「桜」「鶴」「鳳凰」「御所車」「扇」は縁起が良いため白無垢に使われることが多い柄です。


桜は新しい門出や豊かさ、鶴は長寿・夫婦円満、鳳凰は平和・不老不死、御所車は富や華やかさ、扇は発展・繁栄と、それぞれの柄には結婚衣裳にふさわしい意味が込められています。

白無垢の要素2:素材の違い

白無垢の素材にはグレードによって主に「正絹(しょうけん)」、「交織(こうしょく)」、「化繊(かせん)」の3種類が使われています。


「正絹」はその名のとおり天然の絹のことです。落ち着いた光沢感となめらかな手触りが特徴で真っ白ではなく少し黄色がかっています。「交織」は縦に絹糸、横に化学繊維を使用した素材です。「化繊」は化学繊維のことで真っ白であることが多く手触りが少しごわついています。

白無垢の要素3:織り方の違い

白無垢の織り方は主に「緞子(どんす)」と「錦織(にしきおり)」の2種類に分けられます。


「緞子」は生地の表面がなめらかなのが特徴で、清楚な印象の織り方です。一方、「にしきおり」は刺繍のように模様が浮かびあがるよう織ったもので、豪華ですが重さがあります。

白無垢の要素4:装飾品

白無垢の装飾品には「筥迫(はこせこ)」「懐剣(かいけん)」「末広(すえひろ)」などがあり、それぞれに意味や扱う上でのマナーがあります。


「筥迫」とは武家の女性が打掛を着る時に使用した化粧ポーチのようなもので、豪華な刺繍で胸元を飾ります。「懐剣」は短剣のことで魔除けやお守りの意味があります。「末広」は扇のことで形状からめでたいことの象徴です。


ただし広げるのは厳禁で、閉じたまま手に持つか帯に挟みます。

白無垢の要素5:髪形

白無垢は「文金高島田(ぶんきんたかしまだ)」の鬘(かつら)の上に「綿帽子(わたぼうし)」や「角隠し(つのかくし)」などの白い布を被るのが伝統的なスタイルです。


文金高島田は髷(まげ)を高く結う髪形で、男性用の髪形「文金風」が女性の髪形にも取り入れられ発展したといわれています。


白無垢といえば文金高島田が定番でしたが、近年は髪形やアクセサリーなどおしゃれにアレンジできる洋髪スタイルも人気があります。

白無垢を着ることができる3つの挙式様式を紹介!

白無垢は神社での結婚式で着るものと思っている方が多いのですが、実は「神前式」以外に「仏前式」「人前式」でも着ることができるのをご存知でしょうか。


つぎに、白無垢で結婚式を挙げられる3種類のウェディング様式を詳しく紹介します。

白無垢での挙式様式1:宗教や格式を気にしない人前式

白無垢で結婚式を挙げられる挙式様式1つめは「人前式」です。人前式は、宗教や格式にとらわれず列席者に証人となってもらうスタイルの結婚式です。


新郎新婦のゆかりのある場所などで行われることが多く、アットホームな雰囲気が特徴のウェディングです。


近年は和婚ブームの影響で白無垢も人気ですが、色付きの掛下でコーディネートしたり、ネイルやピアス、ヘアスタイルなどでおしゃれにアレンジしたりする新婦が増えているそうです。

白無垢での挙式様式2:宗派に則った仏前式

白無垢で結婚式を挙げられる挙式様式2つめは「仏前式」です。仏前式は仏教の教えに基づき、先祖や仏様に結婚を報告するスタイルの結婚式で、白無垢が正装です。


仏前式は、かつては先祖代々のお墓がある菩提寺やゆかりのある寺院の本堂などで、親族のみが参列して行われていましたが、最近は結婚式場やホテルでも行われています。

白無垢での挙式様式3:神道に則った神前式

白無垢で結婚式を挙げられる挙式様式3つめは「神前式」です。神前式は日本古来の宗教である「神道」に則って、「三々九度の盃」や「玉串拝礼」などを通して神様に結婚の報告を行います。


神社の神殿で行う伝統的な挙式スタイルですが、最近はホテルや結婚式場の神殿でも挙げられます。神前式は白無垢を着る挙式の代表格といって良いでしょう。

白無垢の花嫁に合わせた花婿の和装を紹介!

新婦が白無垢を選んだ時、新郎はどのような和装を選んだら良いのか分からない方もいらっしゃるでしょう。


新郎の和装は大きく分けて「黒五つ紋付き羽織袴」と「色紋付き羽織袴」の2種類に分けられます。つぎに、それぞれの特徴や新婦の和装とのバランスの取り方などについて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

格式の高い黒五つ紋付き羽織袴とは?

新郎の和装で一番格式が高いものが「黒五つ紋付き羽織袴(くろいつつもんつきはおりはかま)」で、白抜きの家紋が5つ付いた黒1色の着物と羽織り、それに縞柄の袴を合わせるのが基本的なスタイルです。


和装の結婚式では新婦の衣裳に新郎が「格」を合わせるのが基本となりますので、新婦が白無垢を着る場合は、新郎も和装の中で一番格式が高い「黒五つ紋付き羽織袴」を選びましょう。

色紋付き羽織袴とは?

「色紋付き羽織り袴(いろもんつきはかま)」とは、白・茶・紺や紫などカラーバリエーションが豊富で白抜きの家紋が1~3つ入っているものをいいます。男性の和装では準礼服にあたり、紋の数が少ないほどカジュアル度が高くなります。


お色直しなどで新婦が新和装や振袖などを着る場合は、新郎も色紋付き羽織袴を選ぶと「格」のつり合いがとれます。また、新婦の着物とバランスの良い色を選ぶと入場した時に見栄えが良くなります。

挙式で装う白無垢以外の3つの和装とは?

和装の結婚式において、白無垢以外に新婦の衣裳はどのようなものがあるのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。


一口に和装といっても種類はさまざまで、「白無垢」以外の代表的なものには「色打掛(いろうちかけ)」「引き振袖(ひきふりそで)」「新和装(しんわそう)」などがありますので、つぎに詳しく紹介していきます。

白無垢以外の挙式和装1:白無垢と同じ正装である色打掛

「色打掛」は掛下という着物の上に打ち掛けて羽織る色鮮やかな着物のことで、白以外の打掛はすべて色打掛といわれています。色打掛は室町時代に誕生し、江戸時代では武家の女性を始め裕福な町屋の娘の婚礼衣裳として広がりました。


色打掛は、白無垢を着たあとのお色直し用とされることが多かったのですが、現在では色やバリエーションが増えて白無垢と同じ正礼装として結婚式でも着られています。

白無垢以外の挙式和装2:未婚女性として最後に装う引き振袖

「引き振袖」は、大振袖や本振袖、お引きずりともいわれ、普通の振袖と違い帯の部分で着丈を調節する「おはしょり」を作らずに引きずるように着るのが特徴です。


引き振袖で一番格が高いのが黒引き振袖で「あなた以外の誰の色にも染まりません」という意味があるといわれ、昭和初期までは定番の婚礼衣装でした。なお、振袖は未婚女性が着るものですから結婚式は引き振袖を着る最後のチャンスといえるでしょう。

白無垢以外の挙式和装3:ドレス感覚の新和装

「新和装」とはオーガンジー打掛ともいわれ、着物に洋風の素材や装飾を取り入れたスタイルで、軽くて動きやすいのが特徴です。ウェディングドレス感覚で着られて夏場の挙式にも向いています。


伝統的な和装よりアレンジが自由で「自分らしい和装にしたい」「和風と洋風どちらも楽しみたい」という方におすすめです。ただし、カジュアル度が高いため準礼装となり、格式の高い神社や結婚式場では敬遠される場合があります。

格式の高い正装である白無垢で厳かな挙式を!

日本の伝統的な結婚式である神前式は、古来の宗教である神道(しんとう)に則ったもので、明治33年の大正天皇のご婚儀が起源といわれています。由緒ある神社で行われる神前式は時代を経ても変わらぬ美しさで、白無垢姿に憧れている女性も多いでしょう。


「あなたの家の色に染まります」という覚悟を意味する白無垢の花嫁衣裳に身を包み、身も心も引き締まる厳かな雰囲気の中、新しい人生を踏み出してはいかがでしょうか。