「つわり」とは、妊娠中に起こる体の不調です。個人差はありますが、妊婦さんの中にはつわりに苦しむ人も少なくありません。
つわりの症状が起こる理由は、まだはっきりとは解明されていませんが、有力視されている説はいくつかあります。
例えば、ホルモンバランスの変化による自律神経の失調や、胎盤の絨毛から分泌されるホルモンによる嘔吐中枢への刺激という説などです。しかしながら、どうすれば治るのかは特定されていません。
つわりの主な症状は、「吐き気や嘔吐」です。ただし、個人差が大きく、妊娠週数やその日の体調によって変わるという特徴があります。
目が覚めたときや空腹時に、胃や胸がむかむかして吐き気を感じる吐きづわりの人もいれば、食べ物や日常的に嗅いでいる匂いも不快に感じる匂いづわりの人もいます。
さらに、いつも以上に日中、眠くなってしまう眠りづわりの人や、食べ物の好みが変わったり食べすぎたりする食べづわりの人もいます。
一般的なつわりの始まりは妊娠初期にあたる妊娠5週の始め頃で、妊娠8週〜9週頃でピークを迎えます。おおよそ妊娠12週頃には消えていることが多いでしょう。
ただし、胎児が双子などの場合や、経産婦かどうかによっても始まる週数が早かったり遅かったりすることがあります。妊娠が分かって嬉しい時期ですが、苦しくて辛い時期でもあります。
ここからは、症状別のピークの乗り越え方をご紹介していきますので参考にして下さい。
ここからは、つわりのピーク時の症状に効果的とされている対処法をご紹介します。体調がすぐれないときは、何よりも無理をしないことが大切です。
生まれてくる赤ちゃんとご自身のためにも、体を労わりながら過ごすようにしましょう。以下にご紹介する対処法の中で、出来るものを試しながら、きついつわりの時期を乗り切って下さい。
「吐きづわり」とは、食べている食べていないに関わらず、ムカムカして気持ちが悪くなり、吐き気がする症状です。この「吐きづわり」は、妊婦さんのつわり症状として最も多く見られます。
吐き気だけで治まる人もいますが、嘔吐までしてしまう人も少なくありません。あまりにも吐くことが多い場合や、食事もとれないよう場合は入院が必要になることもあります。
ここからは、吐きづわりの辛い症状を軽減する方法を順にご紹介していきます。
つわりによる嘔吐がひどくなると食事量や水分量が減るため、脱水症状が起こりやすくなるといわれています。つわりがひどいときは、できるだけ水分補給を心がけ、脱水症状を予防しましょう。
しかし、つわりがひどい人にとっては何かを飲むのも難しい場合があります。そんな時は、レモン風味の炭酸水は比較的飲みやすいことが多いです。また、脱水予防のためにイオン飲料もおすすめです。口にできる範囲で少しずつ、体を冷やしすぎない程度に水分補給をしましょう。
「吐きづわり」の場合、何を食べても気持ち悪くなるという特徴がありますが、そんな中でも水分が多く冷たい食べ物は食べやすいという妊婦さんも多いようです。
つわりの時は、冷やしたヨーグルト、フルーツやアイス、またはそうめんなど、自分で食べやすい物を見つけましょう。
中には、つわり中に食べられたものがジャンクフードや揚げ物という人もいます。色々な食べ物を少しずつ試して、自分が食べられるものを見つけましょう。
この時期、おなかの赤ちゃんに必要な栄養はほんのわずかです。栄養バランスは気にせずに、食べられるものを食べられる時に摂取しましょう。
「食べづわり」とは、空腹になると気持ちが悪くなる症状です。また、よだれがどんどん湧いてくる状態でもあります。
ムカムカするのを軽減させる為に食べるのは構いませんが、人によっては体重増加など、出産に影響を与えてしまうほど食べてしまう場合もありますので注意が必要です。なるべくヘルシーなものを選んで軽減する工夫をしましょう。
食べづわりの症状を和らげるために、食事の取り方を工夫しましょう。1回の食事量を減らし、その分一日の食事回数を増やす事で、空腹時間が減ります。この方法は、食べづわりを抑えるのに効果的といわれています。
お弁当や、ご飯を小分けにして持ち歩いたり、すぐに口にできるクラッカーなどのお菓子を持ち歩くのも良いでしょう。
また、よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激されるため、空腹になる間隔を空けることができるでしょう。
何かを食べていないと、気持ちが悪くなり胸焼けをしてしまう食べづわりの時は、口の中でなるべく長く噛んでいられる食材がおすすめです。
空腹時に対処出来るように、飴、キャラメル、スルメ、小魚、昆布などを持ち歩くと良いでしょう。特に小魚などは、カルシウムを補うこともできますのでおすすめです。
「匂いづわり」とは、普段は不快に感じなかったような匂いが、突然気になり気持ちが悪くなる症状です。
ここからは、物理的に嫌な匂いを遠ざけることや、匂いを感じにくくする対処法をご紹介します。たとえば、マスクで匂いを遮断することや、食べ物の匂いがしにくい状況をつくることで、つわりが軽減される場合があります。
「匂いづわり」の場合、どうしても受けつけられない匂いを遠ざける生活をする必要があります。
自分以外の人の持つさまざまな匂いが辛ければ、満員電車を避けて通勤したり、料理の匂いが辛ければ、料理を作らなくて良い環境を整えましょう。
ただし、これは会社やパートナーや家族の理解があって初めて対策できる方法です。匂いづわりで困っている人は、自分が辛くなる匂いを把握した上で対処するようにしましょう。
マスクをする事で、匂いづわりを軽減する方法もおすすめです。マスクをすることで、多少なりとも物理的に匂いを遮断することができるでしょう。
他にも鼻をふさいだり、自分の落ち着く香りをマスクに付けておくのもよいでしょう。
匂いづわりによって、普段以上に匂いに敏感になっている時は、料理の食べ方を工夫しましょう。温かい状態ではなく、少し冷やすことで食べ物の匂いが軽減されます。
食べる前に、少し冷蔵庫で冷やしてみてください。ただし、あまり冷たすぎると胃腸に負担をかけてしまいますので、ほんの少し冷やす程度にしましょう。
「眠りづわり」とは、たとえ夜にぐっすり眠れたとしても、一日中に眠気が取れず、ふとした瞬間に居眠りしてしまうような症状です。
先述したつわりの症状に比べると比較的軽く感じられるでしょうが、24時間ずっと眠気が取れないのは大変です。
特に、働いている人は会社で眠くなってしまうこともあるでしょうし、自宅で過ごしている人の場合も、眠気が強くて、家事がままならないということもあるでしょう。
眠くて仕方がない眠りづわりですが、寝れる状況であれば寝てください。
眠いというのは、怠けているのではなく、体からの信号です。周りに誤解されないように、しっかりと説明をしてサポートを受けるようにしましょう。
眠りづわりには、体を動かすことがおすすめです。手足を動かしたり、椅子から立ち上がることが、気分転換になるだけではなく、体温が変化し、眠気を抑えることが出来ます。
リフレッシュのためにも外の空気を吸いに出るとよいでしょう。
こちらは寝れる状況ではない時にする対処法です。ガムや飴などを口に入れて、口を動かすことで眠気覚ましになります。
すぐに食べ終わってしまうものではなく、長く口の中で楽しめるものがより良いでしょう。通勤中や、仕事の合間に試してみましょう。
ここからはピークや症状に関係なく、つわり全般に効果的な方法についての紹介です。吐きづわり、匂いづわり、食べづわり、眠りづわりのどのタイプの人にも試して欲しい方法です。
柑橘系のものを使用したり、口の中をすっきりさせる為に歯磨きをしたり、体を締め付けない心地よい服装でいることが挙げられます。
フレッシュな柑橘系など、爽やかな香りは気分をスッキリさせてくれます。例えば、口の中の気持ち悪さをリセット出来るようなガムやタブレットを食べたり、心が落ち着くようなアロマを焚いてみる方法です。
つわりの辛さから、些細なことで怒ってしまったり、泣きたくなったりする時もあるでしょう。そんな時に、好みのアロマやタブレットを常備しておくと、心も体もリラックスできることでしょう。
アロマは妊娠中にお勧めできないものもあるため、アロマショップで確認してから購入することをお勧めします。
妊娠すると口内環境が変化し、歯ブラシを口にするのが辛くなってしまう場合があります。1日のうちで、体調の良いタイミングで歯を磨くことで、口の中の不快感を取り除けます。
また、歯磨きをする時に下を向いて歯ブラシを舌に当てないようにすると、嘔吐感を避けやすいです。歯磨きをすること以外にも、ピーク時は、デンタルリンスなどでうがいをするのも良いでしょう。
妊娠期間を通して言えることですが、ゆったりとした服装で過ごすことも効果的です。特に、胸や腹、腰を締め付けるような服装を避けて、ワンピースや、ウエストがゴムのボトムスをおすすめします。また、下着やインナーもマタニティ用のもので、苦しく感じないものがよいでしょう。
ただでさえ辛い症状を、締め付けることで悪化させてしまいますので、今まで着ていた服と別にマタニティウェアを着てみるのもよいのではないでしょうか。
お母さんと赤ちゃんの健康が第一です。終わらないつわりはありません。辛いつわりのピークにも、必ず終わりは訪れます。
対処法を試してみてもつわりが辛いときは、ひとりで頑張りすぎないで、周りの人のサポートを受けるようにしましょう。家事代行を頼むのもよいですし、特に上の子がいる人はベビーシッターサービスなどが便利です。
この記事を参考にして辛い中我慢してストレスを溜めないように、工夫しながらつわりを乗り越えていきましょう。