「引き出物」とは本来、宴席において来客に渡されるお土産のことでした。現代の引き出物は、結婚式に来ていただいたこと、ご祝儀をいただいたことへのお礼としての意味合いが強くなっています。
もともとの由来はお土産ですから、結婚式でのお礼といった意味は後から付け足されたものでしょう。現代では相手によって引き出物の種類を変えることがありますが、これらも引き出物という文化が広まると共に変わっていった部分と考えられます。
引き出物を選ぶ際には、自分たちの趣味を優先するよりもきちんと守るべきマナーというものがあるので注意しましょう。
引き出物というのは、現代ではご祝儀や来ていただいたことに対するお礼の意味合いが強い、と紹介しました。お礼でお渡しする品なのですから、どんな品でもよい、ということにはなりません。きちんとマナーを押さえて、相手に喜んでもらえる引き出物を選ぶようにしましょう。
引き出物として渡す品物は奇数で用意した方が、縁起がよいと感じてもらえるでしょう。偶数でも問題はありませんが、特に理由がないなら奇数で用意するのがベターです。
日本には割れる数字である偶数は慶事では避けるという考え方があり、現代でも広く浸透しています。そのためご祝儀でいただく金額も、偶数ではなく奇数であることがほとんどでしょう。引き出物の品数も奇数で用意した方が、縁起がよいのです。
引き出物は結婚式場で手渡されたゲストがそのまま持って帰るケースがほとんどなので、大きすぎたり重すぎたりするものは避けるのがマナーです。
記念品として陶器の品物を用意すると、こういった問題が起こりやすいでしょう。引き出物を選ぶ際には、女性やお年寄りなど幅広いゲストがどうやって持って帰ることになるのかを考慮して選びましょう。
どうしてもという場合は、引き出物の宅配サービスを利用するのも一つの手です。
あまりにも結婚式の新郎新婦を意識しすぎた品、使うに使えないような、もらって困る品物を引き出物にしないよう、注意しましょう。具体的には、新郎新婦の写真や名前などが入った品物、新郎新婦の趣味で選ばれた品物が該当します。
結婚式の記念品ということを意識して選びたくなるかもしれませんが、もらった人が扱いに困るようでは、お礼という引き出物の役目をはたせません。ゲストの方に喜ばれる品物を贈るようにしましょう。
結婚式は大安が人気など今でも縁起を気にする人は多いので、一般的に縁起が悪いとみなされる品物を引き出物に入れないようにしましょう。
代表的なものとしては、刃物や櫛があります。昔は割れ物として陶器、消え物として食べ物類も縁起が悪いとされていたことがありますが、こちらは現代ではあまり気にする人はいないようです。
そうそう選ばれる機会はないでしょうが、引き出物に刃物や櫛は入れないようにしましょう。
ここからは、いくらくらいの引き出物を用意すればよいのか、引き出物の金額相場について見ていきましょう。
引き出物の金額に相場があるのかというと、あります。あまり他の結婚式での引き出物と差を出さないためにも、引き出物の金額相場を把握しておきましょう。また、もし相場以上の引き出物を渡したい相手がいた場合は、引き出物を分けて対応する方法もあるので紹介します。
引き出物にかける金額の相場は4,000円から6,000円、または披露宴でお出しする飲食費用の3分の1程度が目安になるとされています。
披露宴の飲食費が1人12,000円なら引き出物の相場は4,000円、18,000円なら6,000円が相場となります。披露宴の飲食費を考えるときは、引き出物の相場にも影響を与えることを覚えておくとよいでしょう。これらの費用から、引き出物として記念品やお菓子を購入します。
全員に同じ金額相場の引き出物を用意するのではなく、特にお世話になった方には特別なお礼がしたいという場合は、贈る相手によって相場を変えた引き出物を用意してもよいでしょう。
ふだんからお世話になっている上司に対してや、主賓の挨拶をしてくれた方、スピーチなどの依頼をした方に対しては、相手によって相場を分けて対応するケースが増えています。
ただし、外から見て明らかに違いが分かる、というのは避けた方が無難でしょう。
ここからは、結婚式でお渡しする引き出物の品数や種類について紹介します。引き出物に入れる品数は、基本的には奇数にするのが縁起がよいとされています。1種類ということはほぼないため、3種類や5種類で入れることが多いでしょう。
また、地域によって引き出物はいくつが定番、といった品数が決まっている場合があります。品数が少ない北海道のような地域もあれば、3つ以上用意する地域もあるので確認してみてください。
引き出物のうち、メインギフトは引き出物の中心となり金額的にもっともお金をかける部分の品物となっています。かつては記念品で用意する方も多かったのですが、現代ではカタログギフトを選択するカップルが増えています。
引き出物の中でもメインとなる品物なので、贈る方に喜んでもらえる品物を用意するのがベターです。そのため、カタログの中からとはいえ相手に好きな商品を選んでもらえるカタログギフトは人気があります。
「引き菓子」は引き出物に入れるお菓子のことで、定番はクッキーやバームクーヘンなどです。引き菓子はメインギフトほどお金をかけることはなく、だいたい半額以下の相場の品を選ぶことが多いでしょう。
もともと引き出物がお土産という意味で使われていた頃は、食べきれない料理を持ち帰っていました。現代では料理の持ち帰りが衛生的に良い行為ではないとされているため、料理の代わりのお土産として引き菓子を入れています。
最後に、引き出物に入れる品物として縁起が良いとされている「縁起物」を入れることがあります。代表的なものとしては、鰹節や昆布、梅干しなどがあるでしょう。
縁起物を入れる理由は2つあります。縁起物を入れることで結婚式で縁起を担ぎたいという意味と、メインギフトと引き菓子だけでは2品になり、縁起が悪いという理由です。しかし現代では引き出物が偶数でも気にしない人が増えており、縁起物は入れない場合があります。
ここでは、引き出物として人気の高いメインギフト3つを紹介します。
メインギフトとなる引き出物は、引き出物の品の中でももっともお金をかけた品物となっています。ここにないメインギフトを選ぶこともできますし、そのことに問題はありません。しかしどんなメインギフトが人気なのか知っておけば、ゲストにも喜んでもらいやすいでしょう。
「カタログギフト」は、さまざまな商品が掲載されたカタログから欲しい商品をゲスト自身に選んでもらうスタイルのメインギフトです。
カタログギフトのメリットは、ゲスト自身にカタログから好きな物を選んでもらえるため、喜んでもらえる可能性が高いことです。そしてカタログ自体はそれほど大きくなく、重すぎないため、持ち帰るのが楽です。
新郎新婦側にも、予算に合わせてカタログを選びやすいメリットがあります。
結婚式の引き出物ですから記念になるものを贈りたい、そんな方に人気があるのが「食器」です。実用的なものや、ブランドの食器は人気が高いでしょう。
ただ食器は日常的に使うものであるため、使い勝手がよいと感じてもらえれば使ってもらえてよいのですが、贈られた方の用途に合わない食器では逆にもてあましてしまうケースがあります。引き出物としての食器には、割れ物のイメージや重く持ち帰るのが大変という面もあります。
ナイフやフォーク、スプーンや箸といった「カトラリー」も引き出物として人気があります。
食器とは違いそれほど大きさがないことや、数があってもそんなに重くならず持ち帰りしやすいといったことが人気の理由でしょう。落として割れるようなこともありません。
また、カトラリーの中でもスプーンには食べるのに困らないように、幸せを分けるといった縁起のよい意味があるとされており、縁起物としてもピッタリでしょう。
多くの場合メインギフトとセットになる引き出物、人気の引き菓子2種を紹介します。引き菓子を選ぶときの1番のポイントは、持ち運びしやすく、かつ日持ちのするお菓子を選ぶことです。
結婚式には遠方から駆けつけてくれる方もいます。そういう方たちに、冷凍が必要なお菓子や日持ちがしないお菓子を引き菓子として贈ってしまうのは避けたいものです。それでは、定番の引き菓子を見ていきましょう。
引き出物の引き菓子として人気が高い「バームクーヘン」とは、ドイツ語で「木のケーキ」を意味しています。
バームクーヘンを切った断面の輪を連ねた形が、年輪を重ねた木に似ているからだと言われています。長い年月をかけて生まれる年輪と、夫婦としての生活を長く積み重ねていくことをかけて、縁起がよいということで選ばれてもいるようです。
丸ごとのバームクーヘンだと食べきりにくいという場合には、個包装の物もあります。
引き出物の定番、「焼き菓子セット」とは基本的に火を使って焼き上げたお菓子のことで、軽くて日持ちがする物が多いのが特徴です。焼き菓子というと洋菓子ではクッキーやマドレーヌ、和菓子ではおせんべいが定番でしょう。
引き菓子に焼き菓子セットを選ぶメリットは、多くの種類のお菓子が入っているので色んな人の好みに合いやすいこと、個包装されている場合がほとんどであるためおすそ分けしやすい、などがあります。
今回の記事では引き出物の基本やマナー、どんな人気のアイテムがあるのか紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。引き出物は一般的にゲストに対するお礼や感謝の気持ちを示すものなので、あまり新郎新婦の趣味に走りすぎると喜んでもらえない場合があります。
定番かつ安定した人気の引き出物もありますが、個性的な物も選べます。新郎新婦の個性を生かし、かつゲストに喜んでもらえて心に残る引き出物を選んでみましょう。