「デキ婚」あるいは「出来ちゃった婚」と呼ばれているのは、妊娠が判明してから結婚を決意し、結婚をしたことを言います。
簡単に言えば、結婚する前に赤ちゃんが「出来ちゃった結婚」ということで、略してデキ婚と呼ばれています。昔はほとんどなかったと言われますが、最近はこのデキ婚をする人が増えていると言われています。
「授かり婚」とは、最近になって浸透してきた言葉で、デキ婚と同じ意味だと言えます。違いがあるとするならば、聞き手に与えるイメージに違いがあると言えるでしょう。
年配の方にとって結婚前に妊娠するのはだらしないという印象を持つ人もおり、デキ婚(出来ちゃった結婚)はその印象に沿った言葉です。
しかし若い人は考え方が違い、妊娠をきっかけに結婚することは悪いことではないとして、「授かり婚」や「おめでた婚」といった前向きな呼び方をしています。
厚生労働省の平成22年度「出生に関する統計」では、デキ婚の割合は平成12年の嫡出第一子に占める割合は26.3で4人に1人の割合となっています。
同資料によると10代の結婚の8割、20~24歳の結婚の6割はデキ婚です。デキ婚自体の離婚率の統計はありませんが、「離婚に関する統計」で平成17年に10代の離婚率74.64%、20~24歳で48.42%とデキ婚率の高い年代ほど離婚率も高くなっています。
先述したように、現在では若い人ほどデキ婚する割合が高くなっています。デキ婚にはいくつかのメリットとデメリットがあります。
ここでは、デキ婚することにどんなメリットがあるのか紹介いたします。
デキ婚のメリットとしてまず考えられるのは、「いつかは結婚しよう」と考えつつなかなか結婚に踏み切れなかったカップルが、妊娠することで結婚するきっかけになるというメリットです。
結婚を前提にお付き合いしていても、結婚に対する不安などからなかなか結婚に踏み切れない男女は多いです。そんな2人の仲を結婚へと後押しするのが、妊娠です。子どもが生まれるまであまり時間がないため、時間的制限が自然にできてしまいます。
昨今では晩婚化がすすんでいるためか、不妊で悩む夫婦が増えています。デキ婚ならばすでに子どもができているため、なかなか子どもを授かれないと不妊で悩むことはなくなります。
結婚してなかなか子どもができず、後で調べて不妊が発覚する、といったようなトラブルはほぼないでしょう。とくに子どもが欲しいと考えている方にとっては、安心できる要素ではないでしょうか。
それではデキ婚にはメリットだけなのかというとそんなことはなく、デメリットもあるのでこちらもチェックしておきましょう。
具体的にデキ婚することでどんなデメリットが生じてしまうのか、どのような可能性があるのかを見ていきましょう。
デキ婚は、入籍した後すぐに子どもが生まれるため、ふたりの新婚生活といったものをほとんど満喫することができないというデメリットがあります。
新婚生活とは、結婚してから最初の1年間の期間を指しています。新婚期間は恋人の延長のような生活をする夫婦も多いなか、デキ婚の場合はすぐに子どもが生まれてしまうため、新婚期間がすぐに終わり子育て期間になってしまうのです。
デキ婚は悪いイメージを持たない人も多い中、とくに年配の方にとっては順序が違うといったイメージを持つ人がおり、世間体を気にしてしまうというデメリットがあるでしょう。
世間体を気にしない人にとっては、関係ありません。しかし世間体を気にしなければならない職業の人や、気になってしまう性格の人にとってはデメリットとなるでしょう。
デキ婚自体の離婚統計といったものはありません。しかし上で紹介した「離婚に関する統計」によると、デキ婚する割合の高い10代と20代前半の離婚率は他の世代よりも圧倒的に高いです。20代後半と前半を比較すると、前半で離婚した人は後半の人のおよそ2倍強となっています。
こうしたことからデキ婚は離婚しやすいと考えられているのですが、ここではその理由、原因について紹介していきます。
デキ婚が離婚しやすい理由の1つには、結婚までの期間が短く、急いで結婚するという原因があるでしょう。
お付き合いをしているうちに価値観の違いなどに気づいたら、そこで別れることができます。しかしデキ婚でその期間が短く、急いで結婚してしまった場合はお互いのことを知る機会も短いため、「こんなはずじゃなかった」ということが増え、離婚につながってしまいます。
デキ婚するカップルは若い世代が多いため、経済的に不安定だったり、自立が難しかったり、同世代に子育てしている人がおらず孤独を感じるなどの問題を抱えやすくなります。
若い世代はまだ仕事のキャリアが不十分で収入や貯蓄が少なかったり、自立した生活を送ることが難しかったり、同年代の友だちと話が合わなくなってしまうため、結婚生活や育児をすることを難しく感じることがあります。
妊娠出産は女性にほとんどの負担がかかるものなので、男性の中には理解が少なく協力的でなかったり、自覚に乏しい人がいて、女性側に不満がたまってしまうと離婚に結び付きやすいでしょう。
生活の基盤がしっかりできておらず、計画的な妊娠ではなかった場合、心の準備ができていないままの出産となり、2人の足並みが揃わぬまま、出産や育児で女性ばかり負担が大きくなってしまうことがあります。
デキ婚の多い若い世代はキャリアが未熟で給料が少なかったり、妊娠出産を理由に女性が働くことができなくなったりして、生活が苦しくなって離婚にいたるという理由もあります。
もともと結婚する予定を立てていたカップルなら、将来設計をして貯金を貯めているでしょう。しかしデキ婚では計画もなく、貯金もしていないうちに結婚してしまうケースが多いため、金銭問題が起きやすいのでしょう。
そもそも結婚を望んでいなかったのに、妊娠したために結婚を決意したような夫婦では、何かあった時にそのまま離婚になってしまう可能性が高いのでしょう。
お互いを好きになり、一生を共にしようと決意して結婚した訳ではなく、ただ妊娠したからとデキ婚してしまったケースでは、精神的にも体力的にも大変な育児や、共同生活を二人で手を取って協力することが難しいと考えられます。
妊娠だけが理由で結婚したような場合、お互いに結婚に対する覚悟をせずに結婚してしまうため、結婚した後に問題を起こしやすく離婚しやすいという理由があるでしょう。
結婚するにはそれ相応の覚悟が必要で、そうでなければ結婚生活は上手くいかないものです。たいていの人は結婚に不安を覚え、決意するまで時間をかけて覚悟を決めます。覚悟が無いまま結婚してしまえば、色々な問題を起こしてしまうでしょう。
ここではデキ婚するかどうか決意する時に注意したいポイントについてご紹介します。
デキ婚を考えている方は、結婚や出産の大きな決断をする前に、こちらの注意点に目を通しておいてください。
お互いに将来結婚を前提にして、納得して避妊していないならともかく、自分勝手に避妊をしないような無責任な男性とデキ婚するのは避けましょう。
女性のリスクを知りながら、身勝手に避妊しないようでは、無責任としか言えません。妊娠や出産は女性の心と体やキャリアプランなどに大きな変化と負担があるため、女性側の意見はしっかり尊重してもらいましょう。
将来離婚してしまったり、あなたの人生が計画通りにいかなかったとしても、絶対に子どものせいにはしない覚悟をしておきましょう。
デキ婚では妊娠が結婚の理由になることが多いため、失敗や挫折をした時、子どもに責任を押し付ける人が稀にいます。
しかし、結婚を決意したのは子どもではありません。何か不幸なことがあっても、責任のない子どものせいにはしないよう、そんな発言はしないという確固たる決意をもつことが大切です。
デキ婚は決して悪いことではなく、新しい命を授かることができた喜びを噛みしめてほしいものです。しかし、夫婦になる前にお互いにしっかりとした信頼関係を作っておかなければ、お金の問題や育児について悩んでしまい、離婚に繋がりかねません。
デキ婚を考えている人は、そのメリットやデメリットをしっかり考えておき、パートナーとしっかり向き合って、お互いの気持ちを尊重しましょう。