婚姻届の証人の正しい選び方!依頼人6選と注意点・ポイント

婚姻届の証人の意味

結婚で役所に提出する婚姻届には、結婚する新郎、新婦だけでなく、2人の結婚の意思を認める証人となる2名の署名、捺印(ハンコ)が必須です。


結婚という身分や社会的な立場の変動を伴う手続きにおいて、届け出の正当性を高めるため、また結婚詐欺や偽装結婚など悪用を防止する意味でも重要な、民法で定められている婚姻届の決まりです。

法務省

婚姻届の証人選びの条件

婚姻届の証人は、20歳以上の成年(成人)の人であれば、だれでもなることができます。証人が既婚者であるかどうかは問われません。


2人の結婚を承認する人であれば、親や兄弟姉妹、友人・知人など親しい人に依頼するのが一般的です。条件に合致していれば、新郎、新婦の側からそれぞれ1人づつでも、相手側から2人でも人数はどちらでもかまいません。


また外国人でも、書類の記入方法が異なりますが、証人になることは出来ます。

婚姻届の証人6選

20歳以上であればだれでもなれるとはいえ、婚姻届の証人は適当に選ばず、結婚する2人の社会的なつながりや交際範囲を考慮し、だれに頼むか適切な人を選びましょう。


それでは婚姻届の証人として選ばれることの多い人を6パターンに分けて解説していきます。

婚姻届の証人1:新郎&新婦の父

婚姻届の証人として圧倒的に選ばれる割合が多いのが、新郎と新婦の父親です。家父長制の考えが根強い日本では、両家を代表する存在としてそれぞれの家の父親が選ばれる場合が多いようです。


父親がすでに他界しているときは、母親に証人になってもらう場合もあります。いずれの場合も、育ててくれた両親に敬意を払い、感謝の気持ちも込めた人選と言えるでしょう。

婚姻届の証人2:新郎の父・母

親に証人になってもらう場合、結婚する両家からそれぞれ1人づつではなく、新郎の側の両親(父母)2人に証人になってもらうパターンもよく選択されます。


婚姻届は署名捺印が必要なので、万が一書き損じが生じたときの書き直しを、両家を行き来して依頼する手間がないというメリットがあります。


日本では結婚で新婦が夫の家の名字になる場合が多いので、夫の家の側の顔を立てる意味合いもあります。

婚姻届の証人3:新郎と新婦の兄弟姉妹

親がすでに亡くなっている場合、新郎新婦のもっとも身近な身内として、親以外の兄弟・姉妹が証人になることもあります。


年の離れた親世代ではなく、これからの人生を長く共にする年の近い兄弟姉妹に、幸せな結婚の見届け人になってほしいという気持ちを込めた依頼と言えるでしょう。


兄弟姉妹以外の身内では、おじ・おばなどの親しいお世話になっている親族に証人をお願いすることもあります。

婚姻届の証人4:新郎と新婦の友人

婚姻届の証人は身内や親族だけとは限りません。結婚する2人をよく知る共通の仲間や学生時代、職場の友人が証人になる場合もあります。


結婚する2人のなれそめからお付き合いしている間のことまでよく知る存在であれば、証人と合わせて結婚式のスピーチをお願いされることも多いようです。


その友人が、結婚する2人の出会いのきっかけを作ってくれたキューピッド的な人であれば、よりふさわしい存在であると言えるでしょう。

婚姻届の証人5:新郎と新婦の職場の上司

いわゆる職場結婚の場合は、新郎と新婦の職場の上司が証人になることもあります。特にその上司が、とても仲が良く新郎新婦にとって理想の夫婦である場合、あるべき夫婦像の見本として証人になることがあります。


結婚で家庭を持つことで、新郎新婦にはそれまで以上に社会的責任を果たすことが求められます。その点で、仕事を通し結婚する2人の人となりを、見てきた上司に証人になってもらうのも、結婚の1つの形と言えるでしょう。

婚姻届の証人6:新郎と新婦の恩師・仲人

新郎と新婦の現在の近しい人ではなく、いわゆる恩師と呼ばれるような人に証人を頼む場合もあります。新郎、新婦の人間形成に大きく影響を与えたような存在です。


また恩師や前項の職場の上司は、結婚のいわゆる仲人になることも多いです。そうした仲人になってくれた方に義理を通して、そのまま証人になってもらうこともあります。

婚姻届の証人を依頼する際の注意点6つ

婚姻届は、役所に提出する法律で定められた重要な書類です。記入や取り扱いは不備がないようにしないといけません。新郎新婦は証人となってくれる人に対しては、お願いする立場から不手際がないように気を配りましょう。


それでは新郎新婦の立場から、お世話になっている人に婚姻届の証人をお願いする際に注意すべき点を、6点にまとめてみていきます。

注意点1:訂正は修正液・修正テープはNG

黒のボールペンや万年筆で記入するのが原則の婚姻届は、うっかり書き損じたり記入ミスをしても、修正液や修正テープで訂正するのはNGです。これは新郎新婦も証人も同様です。


訂正する場合は、間違えた個所に二重線を引き、枠内の余白部分に正しい内容を記載します。二重線への訂正印は、枠外にいわゆる「捨て印」を押します。


ただし役所に提出しに行く際は、念のためハンコを持参していくのが良いでしょう。

注意点2:証人二人の「捨印」を欄外に押印

婚姻届の証人の記載事項は署名、生年月日、住所、本籍地、押印ですが、念のため証人にも上記の記載事項とは別に枠外の「捨印」を忘れず押してもらいましょう。


訂正がある場合、せっかく証人になってくれた方にも余計な負担をかけてしまいます。見落とされがちな点なので、しっかり確認しておきましょう。

注意点3:代筆はNGなので自筆で書いてもらう

婚姻届は、役所に提出する公的書類であり、証人と言えども自筆での記載、つまり直筆でないと認められません。代筆での記入はNGです。


遠方にいる場合でも必ず持参、または郵送でやり取りするなどして、自筆で記入捺印してもらう必要があります。その際は記入見本や記入場所を示した付箋を添えておくと親切です。

注意点4:書き直しに備え婚姻届の予備を用意

結婚というハレの日の書類である婚姻届は訂正がない状態にしたいという方は、予備の婚姻届を準備しておくのがおすすめです。


記入時に舞い上がってしまいうっかり書き損じることもよくありがち。そのたびに役所に新しい婚姻届をもらいに行くのは手間がかかります。あらかじめ予備の婚姻届を数枚もらっておくと良いでしょう。


ちなみに婚姻届は書式さえ整っていれば自作でも受理されます。

注意点5:住所は住民登録している住所を書いてもらう

婚姻届の証人欄には、「住所」と「本籍地」の2種類の住所欄があります。本籍地は戸籍謄本に載っている住所、そして住所は住民登録している住所(住民票記載の住所)になります。


証人によっては、本籍がわからない、知らない、また引っ越しで住民登録を失念しているといったこともありえます。場合によっては確認が必要になることがあるので注意しましょう。

注意点6:夫婦の証人欄への印鑑は別々のものを押印

ご夫婦の2人や、たまたま名字が同じ方に証人をお願いすると、必然的に印鑑の名字も同じものになりますが、その場合同じ印鑑は使えません。同じ名字でも別々の印鑑を準備して押してもらいましょう。


印鑑は朱肉で押印するものであれば簡単な認印でも構いませんが、ゴムにインクを浸透させるスタンプタイプの認印(いわゆるシャチハタ印)は推奨されていません。ご夫婦などには、事前に印鑑の手配もお願いしておきましょう。

婚姻届の証人を依頼する際のポイント4つ

最後に、婚姻届の証人をお願いするときの重要なポイントを改めてまとめておきます。法律的な規則やルール的なことだけでなく、マナーや作法の点でも押さえておきたい点があるので、しっかりチェックしておきましょう。

ポイント1:民法第739条で定められている人

民法第739条で婚姻届は「当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面」、民法第4条で「年齢二十歳をもって、成年とする」とされているので、現在(2020年3月時点)は証人は20歳以上と規定されています。


ただし民法753条では「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」となっているので、20歳未満でも既婚者であれば成年として証人になることができます。

民法

ポイント2:証人の自宅に出向くときは手土産を用意する

同居している家族ではなく、知人や上司、遠方の親類などに証人になってもらった場合、その方の自宅へ改めてあいさつに伺うこともあります。お邪魔する際は、お礼の気持ちも込めて、簡単でもよいので何か手土産を持参しましょう。


結婚に関することなので「切る」や「割れる」といった忌み言葉につながるものはなるべく避け、菓子折りなどでも充分お礼の気持ちは伝わります。「御伺い」や「粗菓」など熨斗を付けるとよいでしょう。

ポイント3:証人をお願いするときのマナー

婚姻届の記入を証人にお願いするときには、慣習的にそうした方が良いとされるマナーのようなものもあります。必ずそうしないといけないということではありませんが、地域や家風によってはこだわる方もいるので、状況によっては注意しましょう。

新郎側から先に書いてもらうのが一般的

新郎、新婦側から1名づつ証人になってもらう場合、記入は新郎側の証人から記入してもらうのが一般的とされています。


結婚披露宴の主賓のスピーチの順番も、通常は新郎側のゲストが先とされています。このように結婚にまつわる儀礼では、新郎側の顔を立てることが今でも慣例として随所で行われています。


婚姻届の証人の記入の順番で悩んだら、その慣習に従い、新郎側に先に書いてもらうようにするとよいでしょう。

親族以外なら立場が上の人から先がよい

結婚する両家と親族関係がない人に証人を頼んだ場合は、立場が上の人から記入してもらうと角が立たなくてよいでしょう。


通常は職業的な地位や役職が高い方を先にするのが一般的です。もし地位や役職が2人とも同じような場合は、年齢が上の人を目上として先にしたり、新郎側を先にするという基本に則して判断すればよいでしょう。

遠方の証人へは自宅に郵送してもよい

証人になってくれる方が県外や遠方で、直接出向いて記入をお願いできないときは、婚姻届を郵送し、記入後に返送してもらっても構いません。


その場合は、失礼のないように事前にきちんとその旨を電話などで連絡し、返送用の封筒や切手、手紙や添え状なども忘れずに同封します。記入しやすいように、付箋で記入枠を示しておく、記入例を示した見本を添付するなどの気配りもしておきましょう。

ポイント4:証人は2人の意思を証明してもらう人

婚姻届に記入される証人に与えられる役割は「2人に結婚の意思があることを証明する」というものです。書類上は重要な役割ですが、実はそのことで、借金の保証人のように何か法的な責任が発生するわけではありません。


あくまで立会人的なスタンスの存在で、結婚した夫婦が何か事件を起こしたとしても、証人が責任を問われることはありません。だからといって、証人になってくれる人をぞんざいに扱ってよいわけではありません。

婚姻届の証人にはマナーを重んじよう

婚姻届の証人について解説しました。結婚にあたっては式場や新居の手配、住所変更、予算を考えたりと、準備が多くなかなか証人のことまで頭が回らないという方も多くいます。


しかし婚姻届の証人は、2人の結婚の意思を証明する本当に大切な存在です。証人をだれにお願いするかもしっかり考慮し、引き受けてくれた方には最大限の気配りをして、結婚後もお付き合いを続けていきましょう。