妊娠したときにいつ会社へ報告するのかはよく問題になりますが、なるべく早めに報告する、もしくは安定期まで待ってから報告するというタイミングが多いようです。
これはどちらにもメリットがあります。なるべく早く報告すれば、妊娠初期の体調が不安定な時期に会社側も妊娠を承知していますので、配慮してもらいやすくなるでしょう。しかし妊娠初期には、何があるか分かりません。そのため安定期に入ってから報告する場合もあります。
妊娠したとき、できるだけ早く報告しておいた方がよい人は、直属の上司・夫と自分の両親・親しい同僚や友だちなどです。
ただ、いつ頃妊娠報告をした方がよいのかは個々のケースによってさまざまでしょう。仕事に関係ない友だちの場合は、妊娠報告が遅くなってもとくに支障がない場合が多いです。逆に早くから相談に乗ってもらいたい場合は早めに報告してもよいでしょう。
仕事をしている人なら、夫の他に真っ先に伝える必要がある場合が多いのが、直属の上司です。
伝え方は、口頭で構いません。「すみません、ちょっとお話したいことがあるのですが、お時間いただけますか」と切り出して時間を作ってもらい、直接伝えるとよいでしょう。
妊娠初期の症状が辛く、仕事に支障が出そうなら早めに報告した方が体のためです。とくに問題がないようなら、安定期に入ってからの報告でもよいでしょう。
自分の両親や夫の両親への報告も必要になります。これは同時期に両方に報告してもよいですし、まずは自分の両親に伝えて夫の両親には安定期に入ってから伝えても構わないでしょう。
まず自分の両親に伝えるのは、実の親なので色々と聞きやすく、何かあった時にも対応をお願いしやすいからです。それに対して夫の両親には遠慮が先に立つため、なるべく落ち着いてからの報告を望む女性が多いでしょう。
直属の上司の他に、仕事に関係する同僚や親しい同僚に妊娠報告が必要な場合もあります。
タイミングは直属の上司に報告する前に親しい同僚に妊娠報告をして相談したり、上司への報告の後に同僚に報告したりするなどさまざまです。自分のフォローを頼みたいような場合には、なるべく早く伝えた方がよいでしょう。
ただ自分で言わなくても、妊娠報告を受けた直属の上司が仕事のフォローのために同僚に伝えている場合もあります。
友だちへも妊娠報告をしますが、とくに特定の時期に報告した方がよいというようなことはなく、出会うタイミングや電話をしたタイミングで伝えるとよいでしょう。
ただ、妊娠について悩みを相談していたような場合には、早めに連絡をしてあげると喜んでくれるでしょう。相談などはしていない普通の友だちの場合は、飲み会やお出かけのお誘いを受けたときや電話中に、さりげなく妊娠を伝えるのがベターです。
妊娠報告をするときに、なるべく伝えておいた方がよいポイントがあります。メモなどにまとめて、聞かれたらすぐに答えられるようにしておきましょう。
妊娠するのは喜ばしいことですが、どうしても仕事に影響が出てしまいます。妊娠報告をするのは、仕事や体調面で周囲からのフォローが必要になるというのも一つの理由です。妊娠報告をするときには、フォローをしてもらうために必要な情報を伝えておくことが大切です。
まず妊娠報告で必要となるのは、「妊娠〇週で、出産予定日は△月□日です」という妊娠週数や出産予定日の情報です。
どうして必要な情報なのかというと、妊娠週数を伝えることで相手が妊娠初期なのか安定期なのかを判断できるということと、出産予定日を報告することでその頃には産休をとることになるという情報を伝えるためです。
もしもこちらから報告しなくても、「出産予定日はいつなのか」と聞かれることもあるでしょう。
現在の体調はどうなのか、つわりの様子についても必要な情報なので、妊娠報告と共に伝えておくのがベターです。とくに体調面でのフォローが必要だと感じる場合には、なるべく早めに相談しておきましょう。
妊娠によってどのような体調の変化が起こるかは、女性それぞれ、一人ひとり違います。妊娠初期でつわりが酷いことを知らせておけば、体調が万全でないことを考慮して、突然の休みなどにも対応してもらいやすくなるでしょう。
妊娠・出産を機に産休や育休をとったり、退職したりする女性が多いので、出産前後の予定についてはあらかじめ自分の希望を伝えておきましょう。
産休や育休の後に復帰する予定なら、産休・育休中の仕事の割り振りをお願いする必要があります。もしも妊娠・出産を機に退職するようなら、現在手掛けている仕事の引継ぎ作業などが必要となってきます。
妊娠報告をした上司からも聞かれるでしょうから、あらかじめ考えておいてください。
もしも仕事内容についての要望や、勤務時間についての要望がある場合には、妊娠報告をしたときに一緒に伝えてもよいでしょう。
例えば、タバコを吸う人が多いような職場なら配慮してもらえるようお願いする、重い荷物などを持たなくてよいようにフォローをお願いする、時短勤務したい場合はそのことを伝えるなどです。
赤ちゃんのためにも、妊婦の体の負担になるようなことからは遠ざけてもらえるよう、交渉しましょう。
中には、ビックリするほど妊娠や出産について知識のない上司や、あまり理解のない上司と出会う場合があります。そのようなときに役立つ制度についても知っておくとよいでしょう。
ここで紹介しているのは、妊娠した働く女性にとって心強い味方となる「母性健康管理指導事項連絡カード」と、「つわりによる休暇」です。なかなか上司から妊娠・出産についての理解が得られにくい場合や、体調が悪い場合は利用を検討してみてください。
「母性健康管理指導事項連絡カード」は、医師が妊産婦の状態について記入するカードで、事業主に対して診断書と同等の書類として扱われています。
例えばつわりが酷くて休暇が必要と医師が判断した場合や、体調が悪く早退や欠勤・休暇などが必要と判断した場合に、医師がその旨を記載した書類です。妊娠した女性が、事業主に直接伝えても分かってもらえないときでも、医師の正式な書類があれば話は別でしょう。
もしもつわりがひどく出社が厳しいような場合には、上記の「母性健康管理指導事項連絡カード」や診断書を用いて、休暇を申請することが可能です。
医師が出社することや長時間勤務を危険だと判断した場合は、時短勤務や休暇などの配慮をしてもらうことができます。つわりがひどくて勤務が辛いというような場合には、迷わず病院で相談してみることをおすすめします。
妊娠報告の仕方によっては、思わぬトラブルに見舞われてしまうことがあります。
「きちんと気をつけて報告したはずなのに」ということや「うっかりしていて、思いもしないことになってしまった」など、場合によっては会社での信用や個人間の付き合いに影響が出てしまうことも少なくありません。
どんなトラブルに気をつけたらよいのか、代表的なトラブルについて考えていきましょう。
職場で妊娠報告をする際にあってはならないのが、直属の上司に自分で報告する前に社内で噂になって、上司の耳に入ってしまうというものです。
直属の上司より前に同僚に相談することもありますが、口の軽い相手や信用のおけない相手だと、言いふらされてしまうことがあります。もし同僚に相談したくなったり、すでに相談したあとだったりした場合は、できるだけ早めに直属の上司にも妊娠報告をしておきましょう。
妊娠報告をするときに産休や育休、さらに退職についてなど、なにも考えていないと聞かれても答えることができず、トラブルになってしまうことがあります。
直属の上司にしてみれば、仕事の采配のためにも出産や産休の予定、ましてや退職については早く把握しておきたい情報です。今後の勤務について何も考えていないと、仕事に対して無責任だと受け取られても仕方がありません。あらかじめ自分の希望を考えておきましょう。
不妊治療中の人は心も体も大変な状況なので、配慮をせずに嬉しさ満点で妊娠報告をしてしまったら、嫌われてしまったとしても仕方ありません。
また、気を遣って報告しないとしても、周囲から耳に入れば、報告してもらえなかったことに傷つく人もいるかもしれません。不妊治療中の人には、相手を傷つけないように言葉を選んで報告しましょう。
「簡単に妊娠したの」や「すぐできた」などの言葉は、相手を深く傷つける可能性が高いため、避けましょう。
自分の両親の場合は言いやすいとしても、相手の両親となると気が引けてしまい、なかなか妊娠報告ができず遅れてしまうということがあります。そのような場合、他の人を介して夫の両親の耳に入ってしまうということも起こりかねます。
なるべく心配をかけたくない気持ちや遠慮する気持ちがあるのは仕方ないことですし、相手の両親の人柄にもよりますが、安定期に入るころには伝えた方がよいでしょう。
妊娠したからといって必ず出産まで順調にいくとは限りません。早いうちに報告をしてしまうと、流産など予期せぬことが起きてしまったときにも、周囲へ報告をしなければなりません。
安定期に妊娠報告をするのが定番と言われているのはこのためです。安定期以降も必ずしも安全ではないのですが、妊娠初期よりは安定しているでしょう。
妊娠初期に妊娠報告をする場合は、何かあったときはそのことも報告しなければならなくなることを覚えておいてください。
妊娠することはとても嬉しいことですが、そこがゴールではありません。むしろ、出産に向けて色々と準備をしなければならない大変な時期がはじまった、くらいの認識でいた方がよいでしょう。
会社勤めをしている人は、妊娠している体に仕事が影響を与える可能性があります。できるだけ自分の体や赤ちゃんを守ることを優先させ、体調が悪い場合には早めに妊娠報告をして、フォローしてもらえるように交渉しましょう。