「戸籍謄本(こせきとうほん)」というのは、あなたの戸籍について戸籍にいる全員分の事項がのっている書類のことです。
昔は戸籍謄本と言っていたのですが、電子化が進んだ現在では「戸籍全部事項証明書」と呼ばれています。あまり聞きなれない言葉ですが、役所でも「戸籍謄本」で通じますのでとくに問題はないでしょう。原本は役所で保管されており、私たちはその写しを手に入れることができます。
戸籍謄本と一字違いの「戸籍抄本(こせきしょうほん)」の違いは、戸籍に全員の事項が載っているのが戸籍謄本であり、個人1人だけの事項が載っているのは戸籍抄本であるという違いです。
このため、戸籍謄本が全部事項証明と呼ばれているように、戸籍抄本は「戸籍個人事項証明書」と呼ばれています。戸籍抄本が欲しい場合には、誰のが欲しいかを指定する必要があります。
婚姻届を提出するときには、戸籍謄本は必要なのでしょうか。結論から言うと、婚姻届を提出するときに戸籍謄本は必要になることもあるし、必要ではないこともあります。
これは、婚姻届提出時に戸籍謄本を一緒に提出する必要がある場合と、婚姻届提出時に必要でない場合があるためです。自分たちがどちらにあてはまるか、確認する必要があるでしょう。
それではここからは、「婚姻届を提出するときに戸籍謄本が一緒に必要になるケース」について紹介いたします。
こちらのケースにあてはまる方たちは、「婚姻届を提出にあたって戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の提出も求められることになる」でしょう。婚姻届を提出前に、あらかじめ戸籍謄本をとっておくとスムーズに婚姻届を受理してもらえます。
1つ目は彼または彼女の本籍地が婚姻届を提出する役所と異なる市町村であった場合であり、婚姻届を提出する役所と本籍地が違う彼、または彼女の戸籍謄本が必要になるケースです。
彼の本籍地に婚姻届を提出し、彼女の本籍地が別だった場合は、彼女の戸籍謄本が必要です。もしも、彼、彼女ともに婚姻届を提出する役所と本籍地が異なる市町村であった場合には、彼、彼女2人とも戸籍謄本が必要になるので注意してください。
海外に在住している日本人同士が海外で婚姻する場合や、海外で外国の人と結婚することになったときにも、戸籍謄本が必要となりますので注意してください。
海外における婚姻では、日本方式にするかその当該国の方式で婚姻するか選ぶことになります。日本方式では婚姻届と戸籍謄本を大使館か領事館で提出、あるいは当該国で婚姻届に記入し日本で提出してもらいます。外国方式でも戸籍の手続きが必要となるため、戸籍謄本が必要です。
それでは実際に、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得するにはどうしたらよいのか、具体的な方法を3つと、必要な書類などについて解説いたします。
いきなり出向いていって、戸籍謄本を出して欲しいと言っても必要書類などがそろっていなければできません。無駄足を踏まないためにも、必要なものを知ってきちんと揃えてから行きましょう。
戸籍謄本(全部事項証明書)を取得する方法、まず1つ目は定番の役所の窓口で直接請求をするという方法です。この場合の窓口とは、「市民サービス課」や「総合支所市民生活課」、「サテライトオフィス」などが対象となるでしょう。
戸籍謄本の取得にあたっては、手数料が必要です。このときの手数料は戸籍謄本・戸籍抄本で1通につき450円となっています。
戸籍謄本を請求するにあたって、直接役所の窓口に取りにきた人の「身分証明書」が必要になります。これは、いわゆる「本人確認書類」です。
ここで提示する身分証明書は、「運転免許証」や「パスポート」、「マイナンバーカード」や「健康保険証」・「年金手帳」などです。身分証明書であっても顔写真がついていないものは、1点だけでは不足で2点必要となるので注意してください。
身分証明書と共に、戸籍謄本の発行を依頼する本人の印鑑が必要になります。このときの印鑑は、本人の「認印」で構いません。
身分証明書である本人確認書類と共に認印を用意して持って行き、規定の手数料を支払うことで、本人の戸籍謄本(コピー)を手に入れることができます。
続いてご紹介するのは、戸籍謄本を自分自身ではなく委任状(いにんじょう)を預けた代理人にとってきてもらう方法です。忙しくて自分でなかなか役所に行けないという方、郵送には抵抗のある方が信頼する代理人に依頼するケースが多いでしょう。
なお、戸籍謄本を取得するのが代理人とはいえ他人ということになりますので、戸籍謄本の請求手続きは本人がするよりも少し面倒くさくなります。必要なものも増えます。
代理人に戸籍謄本を取得してもらうためには、必ず戸籍謄本を必要としている本人が記載した「委任状」が必要になります。委任状につきましては、直接役所に行かなくてもネット上でダウンロードすることが可能になっています。
委任状は作成年月日、本人の住所・生年月日と電話番号を記載し、本人が直筆署名したうえで捺印していなければなりません。また代理人についても住所・氏名・生年月日の記載が必要です。
当日役所の窓口で戸籍謄本の請求手続きをする際には、本人から受け取った「委任状」と「代理人の本人確認書類」、そして「印鑑(認印でもよい)」が必要となっています。
委任状があっても、委任状に記載された代理人と当日戸籍謄本を請求する人が別人であってはいけません。必ず、代理人として記載された人が手続きを行うようにしてください。
どうしても本人が役所で手続きできない、また信頼のおける代理人も手配できないようなときは、戸籍謄本を本人の自宅に「郵送」してもらうことも可能になっています。
通常、戸籍謄本の請求先は本籍地のある役所です。しかし郵送の場合はまとめて他の役所で処理を行っていることもあるため、自分の本籍地の市町村ではなく他に指定されていないか確認してみてください。
郵送にあたっても、戸籍謄本の請求をする際には「本人確認書類」の提出が求められるため、身分証明書をコピーして用意しておきましょう。
通常、窓口での戸籍謄本の請求ではパスポートも本人確認書類に含まれていましたが、郵送ではパスポートのコピーは受け付けていません。必ず運転免許証かマイナンバーカード、健康保険証などのコピーを同封してください。いずれも、1つコピーがあれば十分です。
戸籍謄本を郵送で請求するため、郵送用の「戸籍証明書等請求書」をネットで役所のホームページからダウンロードして記載するか、自分の手で必要事項を記入して作成することができます。
用紙をダウンロードした場合は項目を埋めていけばよいのですが、自分で作成するなら必要事項を漏らさず記載しなければならないため、役所のホームページで確認しながら記入しましょう。
郵送で戸籍謄本を請求する場合は、戸籍謄本のコピーを送ってもらうための返信用の封筒と、手続きに必要な手数料を「郵便定額小為替」または「普通為替」で同封します。現金の場合は、「現金書留封筒」が必要になります。
返信用封筒には届け先である自宅の住所や氏名を記入し、切手を貼っておきましょう。また手数料として必要な「定額小為替」は、郵便局で購入できます。
婚姻届は新婚旅行先で提出することも可能です。
実は、婚姻届は一時的に滞在している土地でも出せます。旅行で訪れてホテルに滞在しているなら、その地で婚姻届を出せます。もちろん色々と必要なものはあるのですが、新婚旅行など旅行先で出すと記念にもなるでしょう。
旅行先での婚姻届の提出は失敗ができないため、必要なものをしっかり準備しておくように注意してください。不備があると、婚姻届が受理されません。
まず旅行先での婚姻届の提出なので、夫婦どちらも戸籍謄本が必要です。そしてそれぞれの印鑑(旧姓のもの)と身分証明書を忘れないようにしましょう。また提出する婚姻届にも不備がないかを、よく確認しておいてください。
婚姻届を提出する日は、特別な日です。記念日に提出する人も多いのですが、必要な書類を忘れてしまうとせっかくふたりで決めた日に提出できなくなってしまうことがあります。
婚姻届提出時に戸籍謄本が必要になるのかどうかはケースバイケースなので、自分たちの場合はどうなのかしっかり確認して提出しましょう。